さまざまな分野で取り上げられるようになったDX(デジタルトランスフォーメーション)は、これから先、私たちの暮らしの中にもさらに関わってくるといわれています。しかし、DXについてよくわからない人が多いことも事実です。
DXは経済産業省が推奨している取り組みで進化していくIT技術をより広く浸透させ、人々の暮らしを豊かなものにする、その概念のことをいいます。ちょっと難しく感じますが、身近なものでいえばインターネットバンキングもDXの1つです。この先、DXは現在よりも多くのところで活用されていくと予想されますので、ある程度知識を持っておく方がいいでしょう。
現在海外でも注目されているDX
IT技術を活用しビジネスを変革させることで国内外での事業をより優位にできるように、そういった概念をDXといいますが、実はここ最近出てきた言葉ではなく、すでに2004年にこの概念が述べられています。スウェーデン ウメオ大学教授であるエリック・ストルターマンという方が、進化し続けるテクノロジーが生活をよくするという概念を提唱したものです。
DXは海外と日本で定義が異なり、ガートナーの定義、マッキンゼー・アンド・カンパニーの定義、さらにデロイトトーマツの定義があります。こうした定義を理解し、様々な企業が新しいことに挑戦しています。たとえば海外では、NetflixやUberが有名です。こうした企業は新たにDXを始めたのではなく、すでに会社として業務を行っていて、その中で新しい戦略としてDXを行い成功した業者といっていいでしょう。
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Netflixの場合
NetlixはDVDをレンタルする企業として創業し、世界でも知られる会社です。一般家庭へインターネット回線が普及しデジタル通信技術が発達する中で、サブスク型(サブスウリクション型・・・利用期間に定額のサービス料を支払い映像などを見る方法)の映像ストリーミングサービスを開始しました。
DVDを見たり、音楽を聴くときわざわざレンタル店まで足を運ばずとも、定額料金を払っていればいつでも好きな映画や音楽を楽しめます。DXによって映像を見る、音楽を聴くためにしなければならないことが変化したわけです。
Uberの場合
Uberはスマートフォンの位置情報システムでタクシーを呼べる、配車アプリを世に出し、タクシーを利用する一連の流れを大きく変えました。これまでタクシーを利用するためには、電話をかけてタクシーを呼ぶ、もしくは道などでタクシーを呼び止めるしかありませんでした。しかしUberの配車アプリができたことで、スマホをタップするだけでタクシーを呼べるようになったのです。海外旅行に行った先でも、ドライバーが外国語を話せるか?など、さまざまな情報も簡単に手にできます。
NetflixにしてもUberにしても、新しいビジネスに参画したのではなく、今まで行っていた業務にDXを取り入れ、ビジネスを変革させたわけです。利用者が各段に多くなったことに加え、レンタル店にスタッフを配置したり、DVDの在庫管理など行う必要もなくなり、業務の効率化も図ることができるDXは日本でも取り入れられています。

日本でのDXへの反応
ちょっと前まで日本はいろいろな面で進んでいる国だったと思いますが、特にデジタル関連ではぐっと立ち遅れデジタル競争力ランキングでは23位です。1位はアメリカ、2位はシンガポール、韓国が10位、中国が22位、つまりアジアの中でも遅れをとっている状態です。そして、DXに関しても諸外国と比較しても日本の企業はDXにポジティブではないと言えます。企業の推進状況においても、アメリカやシンガポールといったデジタル先進国においてDX推進企業は8割から9割です。対して日本では調査企業の1/3程度に留まっています。
DXの在り方
日本の中でこれからDXを活用し、他社に負けないビジネスを展開していくため、DXのあり方について考えてみましょう。
日本ではコロナをきっかけに浸透
日本の中でなかなか浸透しなかったDXですが、あることがきっかけで浸透が加速したといわれています。実はコロナが原因となってDXが進んだと考えられているのです。コロナが蔓延する中で外出自粛、またリモートワークを行う企業が多くなりました。最初はリモートでの会議や仕事になれなかった私たちも、だんだんとこうした生活に慣れ始めています。
コロナはなかなか収束とならず、これから先コロナと共存しながら経済活動を行っていく生活が基本となるかもしれません。こうした状態からDXが徐々に浸透したのです。
導入が遅れた影響
コロナによってリモートワークなど、DXを取り入れた新しい業務に取り組む企業等が多くなったのですが、DXの導入は思ったほど進みませんでした。DX推進とデジタル庁発足は政策の1つであり、これで一気にDXが進むだろうと思われたのですが、いくつかの出来事によって導入が遅れることになったのです。
コロナが蔓延した中で政府は給付金の支給を行いました。ここでスマートフォン、パソコンを利用したオンライン申請が行われたのですが、口座確認に手間取りとにかく時間がかかりました。ここで改めて日本のDXの弱さが露呈しDXにしり込みする企業も出てきました。
またこれも日本独特の問題といえますがいわゆる脱ハンコ問題です。重要な書類、文書ほどハンコを押印してきた日本ですから、ハンコの押印をなくせるように何をもって個人確認をするのか、これもまたDXの足枷となりました。
実際に導入されている例
DXについて積極的ではなかった日本ですが、コロナの収束が見えない状況でDXでビジネスを変化させようとする企業、店舗が増えてきています。特に大企業ではこの先を見据え、業務の大幅なデジタル化を推進するところも多くなっており、実際にDXで成功している企業もあります。
- RPAを使った銀行のルーチンワークの自動化
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DXの活用導入例の中に、RPAを使った銀行のルーチンワークの自動化があります。PRAというのはロボティック・プロセス・オートメーションの略で、ロボットによる業務の自動化を指します。ロボットによる業務の・・・と聞くと、工場で活躍する産業用ロボットを連想しがちですが、RPAでいうロボットはコンピューターの中で作業してくれるソフトウエアのロボットです。今まで人が行ってきたコンピューター上の作業、捜査をコンピューター内のロボットに代行させます。これにより作業時間の軽減が可能となるわけです。
RPAの導入は大手銀行で行われ大きな成果を挙げています。あらかじめ決められた時間に社内システムにアクセス、データチェック等行いエクセルにコピーするといった作業をロボットが行い、面倒な作業からの解放、作業効率の向上につながったといいます。
- 電子署名
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現在、公文書でも押印を廃止しようという動きがありますが、正式文書だと証明するものとして登場したのが電子署名です。従来の押印による契約であれば、書類を印刷し印鑑を押印、相手の印鑑が必要なら取引先に行くか郵送して押印してもらって返送をお願いするなど非常に面倒なやり取りでした。
しかし電子署名でその書類が確固たるものであることが証明されていれば、郵送も取引先に出向く必要もなくなります。DXを進める中で、こうした電子署名を利用すれば人件費、交通費、またペーパーレス化も進めることができるのです。
- キャッシュレス決済
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すでに首都圏のコンビニなどで無人レジが始まっていますし、ほとんどのコンビニでキャッシュレス決済が行われています。コロナの時代、現金を扱わないことで衛生的に優れている方法ともいえます。
コンビニのほか、昔は現金しか扱っていなかった商店街でもキャッシュレス化が進み、今まで顧客にいなかった若い世代の取り込みに成功した店舗もあります。

Web会議・テレビ会議は先行して取り入れられている
DXの推進が求められる中で、コロナの流行によって一気に広まったDXもあります。それはWeb会議、テレビ会議です。打合せ会議などをオンラインで行うWeb会議、テレビ会議は今後、さらに広まっていくといわれています。
簡単にWeb会議ができるサービスが多くなり、ZoomやSkype、Google Meetなど、さまざまなサービスがあります。DXの先行サービスとして気軽に活用できるので、これからDXの活用を考えている方はまずWeb会議などからはじめてみるといいでしょう。
Web会議・テレビ会議はデジタル活用の一環
Web会議やテレビ会議はデジタル活用の一環として、すでに多くの企業、業者などで活用しています。DXの推進という気持ちで行うというよりも、コロナ下で必要に追われて準備したという業者さんも多いでしょう。現在はリモート面接など、採用活動にも利用されています。テレビ会議なら従業員の顔を見ながら会議することができるため、お互いに緊張感をもって会議できる利点もあります。
海外ではそもそも進んで導入されていた
DXの一環として海外では早くからWeb会議、テレビ会議が行われていました。日本のように「大切なことは実際に会って話をする」ということではなく、海外の方がより合理的な考え方を持っているため、Web会議やテレビ会議も浸透しやすかったのでしょう。海外で取り入れられ始めた当初から、Web会議やテレビ会議の有用性は高いといわれており、海外でも早くからWeb会議など取り入れてきた企業はよりうまく活用できています。

まとめ
DXを本格的に活用するとなると、DXに関連した知識も必要となりますし、システムを導入するための技術も必要です。またいくら元から業務をしているといっても、「仕事の仕方を変える」のは大変ですし、設備投資などもしなければなりません。
これからDXに取り組みたいと思っているのなら、まず、設備投資の費用が低く、DXに関してそれほど深い知識も必要ない、Web会議やテレビ会議のシステムから入ってみてはいかがでしょうか。敷居も低く、業務のデジタル化をはかるにはちょうどいいサービスです。
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