【LoopGate導入事例】光製作所 ― オブジェクトカメラで基板を映し、天草の2工場をひとつにつなぐ

導入企業: 株式会社光製作所
本社/苓北工場: 熊本県天草郡苓北町都呂々2095番地
本渡工場: 熊本県天草市本町新休58番地1
事業内容: 電子機器の基板実装・組立・検査、コイル製造、ハーネス加工
設立: 1976年1月
従業員数: 47名
Webサイト: https://hikari-amakusa.co.jp/

光製作所が抱えていた課題

天草の地形が生んだ、製造現場の「距離の壁」

熊本県の西端、天草地域。半島特有の山がちな地形のため、同じ地域内でも拠点間の移動には思いのほか時間がかかります。

株式会社光製作所は1976年の創業以来、この天草の地でコイル製造から基板実装、組立、検査、ハーネス加工へと事業を広げてきました。「顧客の要求品質を満足させる優れた製品造り」を掲げ、部品加工から組立まで一貫生産できる体制を持つ、地域を代表する電子機器メーカーです。

同社は苓北町の本社と天草市本町の本渡工場の2拠点体制。2024年には本渡工場を移設して生産力を強化しましたが、2工場間のやり取りには長年の悩みがありました。

「基板の実装や検査では、実物を見ながらの確認が欠かせません。電話では基板上の細かい部品配置や半田の状態は伝わらない。かといって山間部の道を走って毎回行き来するのは、往復でかなりの時間をとられます」

従業員47名の体制で、熟練技術者の知見を両拠点に行き渡らせることも課題でした。ベテランが片方の工場にいると、もう一方では経験の浅いスタッフだけで判断せざるを得ない場面が出てきます。写真を撮ってメールで送る方法も試しましたが、リアルタイム性がなく、「角度を変えて見たい」という現場の要望には応えられませんでした。

LoopGateは光製作所の課題をどのように解決したか

導入の決め手 ― 「基板の刻印まで読める」オブジェクトカメラの実力

光製作所が必要としていたのは、単なるビデオ会議ではありません。基板の微細な回路や部品を鮮明に映し出し、離れた拠点の技術者同士が同じ作業台を囲むように確認し合える仕組みでした。

そこで採用したのが、リモートコミュニケーションシステム「LoopGate」のパッケージソリューションである拠点間常時接続システム「お隣オフィス」と、IPEVO P2V ULTRAオブジェクトカメラの組み合わせです。

お隣オフィスは、拠点間を映像と音声で常時つなぎっぱなしにするシステムです。必要な時だけ接続する従来の会議システムとは違い、隣の部屋のようにいつでも声をかけられる環境をつくります。

今回の導入で決め手になったのが、IPEVO P2V ULTRAです。13メガピクセルセンサーによる4K映像と、最短1cmまで寄れるスーパーマクロフォーカスを備えており、基板上の微細なパターンや部品の状態をそのまま画面に映し出せます。手持ち・書画カメラ・ウェブカムの3モードに対応し、作業台に固定しての俯瞰から、手に持ってのクローズアップまで自在に切り替えられる点も、製造現場向きでした。

「デモでオブジェクトカメラに実際の基板を映してもらったとき、部品の刻印まではっきり読み取れたんです。これなら移動しなくても、画面越しに技術判断ができると思いました」

業場全体を映す用途には、Yealink SmartVision 40を組み合わせています。デュアル48メガピクセルレンズと120度の広角視野を持ち、発話者を自動でクローズアップする機能や、8つのビームフォーミングマイクによる明瞭な集音が特徴です。普段はSmartVision 40で作業場の様子を映しておき、基板の確認が必要なときだけオブジェクトカメラに切り替える。この使い分けが、現場の運用にうまくはまりました。

導入システムの構成

本社と本渡工場の両拠点に、それぞれLoopGate基本セットを1台ずつ設置。各拠点にYealink SmartVision 40、IPEVO P2V ULTRA、PC入力ユニットを配備しています。

加えて、LoopGate forテレワーク(PCアプリ版)を5ライセンス導入しました。固定端末がない場所でも、ノートPCから常時接続映像にアクセスできるため、工場内の移動中や出張先からでも技術支援を受けられる体制です。

導入後の変化 ― 「基板を互いに見せ合う」日常

導入後、2拠点間の連携のかたちが変わりました。

本社で実装した基板を、本渡工場の技術者がその場で確認する。本渡工場で組立中に判断に迷ったら、本社のベテランにオブジェクトカメラ越しに基板を見せて助言をもらう。こうしたやり取りが、わざわざ準備したり移動したりすることなく、作業の流れの中で自然に行われるようになりました。

4Kの解像度とマクロフォーカスにより、はんだ接合部や微小部品の状態も画面越しに十分確認できます。「現地で見なければ判断できない」と思われていた品質確認の多くが、拠点をまたいで完結するようになったのです。

実装不良や部品のずれが見つかった場合も、オブジェクトカメラで該当箇所を映し出せば、もう一方の拠点から的確な指示が出せます。以前はベテランが駆けつけるまで作業が止まることもありましたが、問題発生から対応までの時間が大幅に縮まり、ラインの停滞も減りました。

常時接続の効果は技術面だけではありません。2つの工場が常に映像でつながっていることで、ちょっとした声かけや雑談が自然に生まれます。離れていても互いの気配を感じながら仕事ができる環境は、組織の一体感にもつながっています。

SmartVision 40の発話者自動フォーカス機能も現場では重宝されています。作業場に複数人がいても、話している人を自動で映してくれるので、「誰の声か」が画面越しにすぐわかります。また、映す範囲を限定できるVideo Fence機能は、見せたくない製造ラインを除外できるため、情報管理の面でも安心して使えると好評です。

LoopGate forテレワークの5ライセンスも活きています。管理職が外出先からノートPCで現場の状況を確認したり、複数の技術者が別々の場所から同じ基板を見ながら議論したりと、固定の端末に縛られない柔軟な使い方が広がっています。

今後の展望

2026年に創業50周年を迎える光製作所。物理的な移動なしに基板の状態を2拠点間で共有できる環境は、品質判断のスピードと技術ノウハウの伝承を支える基盤になっています。

今後はオブジェクトカメラを使った技術研修への展開も考えられています。ベテランが検査手順をカメラの前で実演し、離れた拠点の若手がリアルタイムで学ぶ。映像を記録すれば、属人化しがちな技術を組織の資産として残すこともできます。

取引先とのやり取りへの活用も視野に入っています。納品先とオブジェクトカメラで基板の状態を共有しながら受入検査に立ち会ったり、遠方の顧客と試作品の仕様調整を行ったり。こうした使い方が広がれば、天草という立地が営業面のハンデになることもなくなるはずです。

地理的な制約をテクノロジーで乗り越える。光製作所の取り組みは、地方の製造業が拠点間の距離を感じることなく、高い品質とものづくりの力を発揮し続けるためのひとつの道筋を示しています。